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覆面ヒーローをこよなく愛する筆者が映画やゲームへの感想を語る

『蒼き雷霆ガンヴォルト鎖環』レビュー:間口は広く奥は深い、まさに『ガンヴォルト』の完成形

概要

今回は7月28日にインティ・クリエイツからNintendo Switchで発売された『蒼き雷霆ガンヴォルト鎖環』の感想を書いていく。(8月2日にはXBox OneXBox Series X|S版が発売されており、今冬にはSteam版が発売する予定。)

2014年にNintendo 3DSでダウンロード限定で販売された『蒼き雷霆ガンヴォルト』に始まるガンヴォルトシリーズの3作目であり、スピンオフの白き鋼鉄のXシリーズ2作品を含めると通算5作目となる今作は、シリーズで培われたハイスピードアクションのノウハウを最大限に活かし、さらに発展させた最高の体験を提供する、まさに集大成といえるものだ。

新しい時代

舞台は前作から数十年が経過した世界で、世界で唯一の第七波動を封印する「鎖環(ギブス)」の能力者「きりん」と、前作までの主人公であり第七波動を超えた進化を遂げてしまった「ガンヴォルト」(以下GV)の二人が主人公である。

前半はGVと同様に第七波動が暴走し「暴龍」と化した能力者たち、後半は今作のキーアイテム「封鍵」を狙う「ZEDΩ.」率いる武装組織「ATEMS」との闘いが描かれる。

今や過去の人間となったGVが、きりんを始めとした新世代の人々や、かつてのGVや紫電を彷彿とさせるZEDΩ. との邂逅を経て何を思い、どう変化するかが注目ポイントだ。

肩を並べて戦う仲間を得て新主人公のきりんをサポートする本作のGVは、守るべき存在であるシアンやオウカのために孤軍奮闘していた過去と対照的で、見方によっては過去作のGVの行動に否定的とも捉えられる点は賛否が分かれる所だろう。

しかし、常に悲劇に終わったGVの物語が既に過去となり、彼を特別な人物としてではなくごく普通の個人として扱う新しい世界こそが彼の救いとなるという話は現代的で、少なくとも筆者には納得のいくものだった。

 

より鮮やかになって帰ってきた『ガンヴォルト』

クリスマスの街。こんなに楽し気な場所がガンヴォルト世界にあったとは。

インティ・クリエイツらしい精緻で美しいドット絵は、今まで以上にキャラクターの動作を時に可愛らしく、時にかっこよく捉えている。特にステージは工場や施設内部などの殺風景な場所だけではなく、「クリスマスの街」や遊興施設である「電脳九龍城」など文化が垣間見えるステージがきらびやかに描かれているのが嬉しい(主人公がお尋ね者ではなくなり、隠密行動をする必要がなくなった恩恵か)。

フルボイスで読み上げられるライブノベルは視覚的にも聴覚的にもうるさい。

また白き鋼鉄のXでは省略されたライブノベルはもちろん、ミッション冒頭のフレーバーテキスト、ロード画面での設定資料も復活しており、ガンヴォルトらしさ全開である。

CotMへのアンサーの形だが、共演を見れる日は来るのだろうか…。

トークルームでは仕事の合間の他愛もない雑談から、GVによる過去作ネタへの言及まで様々なやり取りが過去最多の登場人物によって交わされる。中には、インティ・クリエイツの他シリーズや他社作品のパロディまで盛り込まれた会話もあり、思わず笑ってしまう。

シリーズ最光速のアクション

本作の主人公の一人「きりん」は錫杖型の仕込み刀を携えた近接格闘キャラクターで、プレイヤーは基本的に彼女をメインに操作してゲームを進めることになる。

彼女の格闘能力については、基本となる地上三段斬りや空中斬りのほかに、ゲームを進めてボスを倒せば新たなアクションを習得でき、多彩な剣技を繰り出せる。

彼女のもう一つの武器が護符であり、これを敵に当ててダメージを蓄積する「護符撃封ち(デバフウチ)」を使うことができ、剣でその敵を攻撃したときはじめてダメージとして発生する。こちらもボスを倒すことによりチャージショットなどの新技を習得できる。

演出もド派手で爽快な雷霆煉鎖。

そして、護符と剣を組み合わせた「雷霆煉鎖(ライテイレンサ)」が、本作のゲーム性の大部分を担う重要なアクションである。これは護符を投げつけた敵やオブジェクトの近くに瞬時に移動し攻撃を加えるというもの。ロックオン→攻撃というガンヴォルトシリーズらしいシンプルな挙動で、射撃武器でロックオンする点はガンヴォルト、移動を伴う点はアキュラ、という風にこれまでの主人公の特徴を併せ持っている。雷霆煉鎖の後は落下速度が遅くなり、1度だけ空中ジャンプができる。さらに雷霆煉鎖を使う際に左スティックを入力することで敵の左右どちら側に移動するかを選択できる。これらを利用して位置調整をして次の敵に護符を命中させれば、再度雷霆煉鎖を使うことができる。後述するChainボーナスのこともあり、基本的にこの雷霆煉鎖を繰り返し敵から敵へと飛び移るように撃破していくのがこのゲームの肝である。

複数ロックオンする「雷霆煉鎖-乱舞-(ミダレマイ)」の演出は画面を埋めんばかり。

この雷霆煉鎖は、護符撃封ちと雷霆煉鎖それぞれがワンボタンで繰り出せるシンプルさと、護符を当てさえすればいつでも敵の前に瞬間移動できるという便利さを兼ね備えており、ゲームに不慣れなうちからでも爽快感を味わうことができる。慣れてくれば複数ロックオンからの同時撃破したり、攻撃の回避に利用したり様々に応用できるのもゲームを進めるうえで成長を実感できて達成感がある。

熟練者のための奥深さも備えている。後述するChainボーナスのため、高スコアでクリアするためには可能な限り雷霆煉鎖を途切れさせずステージを進める必要があるが、今作のきりんはホバリングやブリッツダッシュの反射で滞空時間を延ばすことができない。一筋縄ではいかない地形や敵の配置もあり、コンボを繋ぎ続けるには正確な操作とステージ把握が要求される。また、後半に進めば雷霆煉鎖を利用しなければ回避できない攻撃を繰り出してくるボスもいる。

プレイヤーを助ける記憶の断片

ゲームを進めるのが困難に感じても心配することはない。このゲームはサポート要素も豊富に揃っており、自分のペースでの攻略を助けてくれる。

フレーバーテキストもパロディ満載。いいのか…?

GVの記憶を基にシリーズ作品のキャラクターをモチーフにしたイマージュパルスにはスキル型とパッシブ型の二種類が存在する。

スキル型は攻撃や回復の効果を持ちミッション中に使用できるもので、時間経過により再使用可能になる。

パッシブ型はミッション中常に効果を発揮し、体力やダメージを増加させるものから、ジャンプ回数を増やすなどプレイング自体を変化させるものまで多彩である。旧作でお馴染みの、残弾を消費してダメージを無効化する「電磁結界(カゲロウ)」を付与できるものも存在する。

スキル型は4個、パッシブ型はプレイヤーのレベルによって最大10個まで同時に装備することができ、どちらもミッション中にいつでも付け替えることができる。

イマージュパルスはステージにちりばめられた「イマージュジップ」を集めた数に応じて、ミッションをクリアする度に抽選で入手できる。上述の通りコレクション要素としての側面もあり、ミッションによって入手できるものが異なることから、クリア済みのステージを再度プレイする理由になる。

最強の第七波動能力者

旧作の主人公であり今作のもう一人の主人公であるガンヴォルトは、きりんの下にある鎖環ゲージが100%以上になると交代可能になる。交代後は鎖環ゲージがガンヴォルトの体力となり、0になるときりんに交代する。ゲージは時間経過でも減少し、後述するアクションを使用すると大きく減少するが、下ボタンを2回押し「コンセントレーション」の状態で待機することで消耗を抑えられる。

無限ジャンプ&ダッシュで敵の頭上を素通りすることさえ可能。

基本となるアクションは旧作通りダートを命中させた敵をロックオンしてからの放電攻撃。前述の電磁結界も使用可能。

さらに、きりんの雷霆煉鎖と同様にロックオンした敵に瞬間移動して攻撃を加える「ライトニングアサルト」に加え、アキュラを真似たという「スパークダッシュ」はダッシュ中にぶつかった敵をロックオンしダメージは受けず、ロックオンした敵にぶつかれば敵をすり抜け雷撃を浴びせるというものである。

そして大技「ヴォルティックバスター」は三重にロックオンした敵にダッシュでぶつかると発動する投げ技のようなもので、画面内にいる他の敵をも巻き添えにしながら大ダメージを与える。

機動力に関しても、無制限の空中ジャンプと空中ダッシュによってあらゆる障害を物ともせず隙がない。

暴走したGV。もはや敵の姿が見えないほどの大暴れ。

そしてきりんが敵にやられたときにランダムに発動する「暴走」状態では、より強化されたガンヴォルトを操作できるようになる。鎖環ゲージの制限もなく、画面内の敵を一度にロックオンできるようになり、ヴォるティックバスターは無傷のボスを一撃で葬るなど手が付けられないが、使い続ければデメリットも発生するようだ。

威信点と電子の謡精

ミッションの評価やモルフォの歌に関わる数値「クードス」に関する仕様も進化を遂げている。クードスは敵を撃破することによって蓄積されるが、特定の条件でボーナスがかかる。その中でも注目すべきはChainボーナスで、着地せずに連続で敵を撃破し続けるとクードスの獲得量に倍率がかかり、最大で4.0倍までになる。空中撃破などによって得られる加算方式のボーナスと比べ恩恵が段違いに大きく、これにより本作はシリーズでも圧倒的にクードス値の伸びが良くなっている。

ペナルティとしては本作独自の「クードスロック」という方式が採用されている。これは敵の攻撃に被弾するとクードスにロックがかかり、規定量のクードスを稼いでロックを解除するまではクードスが上昇しなくなるというものだ。クードス値をリセットする形のペナルティしか存在しなかった従来作に比べ、途中でミスをしてもプレイを継続するモチベーションが保ちやすくなった。反面、プレイヤーのクードス値が大きくなるほどロック解除に必要なクードスの規定量も多くなるので、緊張感もある。

またリトライマーカーに触れてもスコアには反映されるがクードスは清算されなくなった。尤もリトライする際にはリセットされてしまうのでデメリットがないわけではない。

本作の主題歌『彼の記憶(ヒノメモリア)』は、当初はLV2だけでしか聴けない。

クードスが1000を超えるときりんの傍らにモルフォが現れ、BGMがモルフォの歌に変わる。従来作ではダメージを受けたりリトライマーカーに触れたりなどしてクードスが清算されるとともにモルフォは消えてしまったが、上記のように今作ではクードスは清算されずモルフォの歌も途切れない。代わりに時限性になっており、1000クードスを稼ぐたびに時間制限はリセットされ、歌が中断されたとしてもこれまた1000クードスを稼ぐたび再び現れる。そして歌を途切れさせずにさらにクードスを一定値稼ぐとクードスLVが上昇し曲が切り替わるので、1回のプレイでも複数の楽曲を楽しむことが出来る。

総じて、旧作よりも易化したクードス関連の仕様やモルフォの歌を長く聴いていられるような工夫が施され、一つ一つのステージを楽しみながら最後までプレイしやすい環境が整えられていると感じた。

総評

ガンヴォルトらしい派手で厨二感全開の演出は健在で、シンプルな操作ながらも奥深いアクションは過去最高といえるスピードと爽快感に満ちた素晴らしいものである。快適なプレイを継続させるための環境づくりも行き届いており、初心者から熟練者まで多くの人に勧められる秀作である。