2月9日のNintendo Directでは、目玉となる『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』を始めとして、数多くのNintendo Swich用ソフトの最新情報が公開された。その中でも私が一際心惹かれたのは『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス』だ。本記事では公開された情報を振り返りつつ、内容についての予想・期待を述べてゆく。
スプラトゥーン3初の大型有料アップデートであるエキスパンション・パスは、第1弾『ハイカラシティ』と第2弾『サイド・オーダー』の2種類が発表された。前作『スプラトゥーン2』(以下『2』)の有料追加コンテンツは『オクト・エキスパンション』のみだったので、ボリュームアップが期待できる。
ハイカラシティ
追加コンテンツ第1弾は『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス ハイカラシティ』となる。
— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) 2023年2月8日
今もなおイカした若者たちが集う場所として人気の街だ。
また、新たに別の街とを繋ぐ路線が開通したことにより、遠く離れた街にいるファッション感度の高い若者たちからも注目を浴びているようだ。 pic.twitter.com/VxccHK2kz4
映像を見る限り、ハイカラシティには、各種ショップやイカッチャ、クマサン商会などの主要施設が揃っており、バンカラ街と同等のハブとしての機能を持っていると思われる。
ヒーローモードでは皆勤賞の「シオカラーズ」もついにアイドルとして復活し、情報番組「ハイカラニュース」のパーソナリティを務め、フェス中のライブパフォーマンスも行う。
「エチゼン」や「アネモ」、「ダウニー」ら『スプラトゥーン』(以下『1』)のキャラクターが装いも新たに再登場する一方で、新しいキャラクターも見られる。
ハイカラシティの住人をご紹介しよう。
— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) 2023年2月10日
双子のカブトエビの「マメブキチ」と「ツブブキチ」。
バンカラ街にもあるブキ屋「カンブリアームズ」の店員さんだ。
初めて見た生き物であるブキチのブキ愛に感銘を受け、弟子入りをしたらしい。
まだまだ小さいが、ブキについて一生懸命に説明してくれるぞ。 pic.twitter.com/th6iH0x6zs
次々に支店をオープンさせ、現在はバンカラ街に店を構えている「ブキチ」に代わりブキ屋「カンブリアームズ」を切り盛りしているのは双子の「マメブキチ」「ツブブキチ」だ。
言うまでもなく『どうぶつの森』に登場する「たぬきち」の弟子(?)の「まめきち」「つぶきち」をオマージュしたキャラクターだが、こちらは師匠とは違う生物である。(ブキチはカブトガニだが双子はカブトエビらしい。)公式Twitterの説明によれば、雛鳥の擦り込みのような形でブキチに弟子入りをしたようだ。
コジャケといい勝負の非常に小柄な体と、大きくてつぶらな瞳は大変可愛らしく、シリーズの新たなマスコットとして戦いに疲れたプレイヤーの心を癒してくれるだろう。
彼は「アジオ」。クツ屋「エビスシューズ」のバイトさんだ。
— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) 2023年2月13日
無気力な雰囲気だがやる気がないわけではなく、勤務態度は真面目。
クツが好きなためバイトに志願したが、求人の条件が「アゲモノ」だったため、フライになったらしい。
夢に出そうな姿をしているが、いたって普通の若者だ。 pic.twitter.com/5K35cWVJZX
もう一人の新登場キャラクターは「アジオ」。こちらも「ロブチャレンジ」で忙しい店主の「ロブ」に代わり靴屋の店番を務めているようだが、彼(?)の特徴はなんといってもその奇っ怪な姿で、「開いたアジのフライに顔と足がついている」としか形容のしようがない。
ロブとはフライをモチーフにしている点は共通しているが、あちらは顔や手足といったパーツが実際のエビに合わせてあるのに対し、こちらは魚類としての体裁を全く保てていない。
生物ではなく食材として魚介類をモチーフにしている点では、タコ足に顔のついた「タコトルーパー」などのオクタリアンに近いかもしれない。
本ブログのレビューでも述べているが、ゲームプレイよりも世界観に惹かれてシリーズに足を踏み入れた私は、前作以上にイカたちの文化に没入できるバンカラ街に感銘を受けた。拠点マップのスキン追加というシリーズ初の試みによって、本作のイカ文化がより多様なものになることは間違いなく、2つの街を行き来できるのが今から楽しみで仕方がない。
サイド・オーダー
追加コンテンツ第2弾として『スプラトゥーン3 エキスパンション・パス サイドオーダー』が配信予定だ。
— Splatoon(スプラトゥーン) (@SplatoonJP) 2023年2月8日
白く変貌したハイカラスクエア。中央にそびえる異形の塔。そこに佇むオクトリングは何を思うのか・・・。
まだまだ不明な部分が多いが鋭意研究を続けていくぞ。
今後の続報をお待ちいただきたい。 pic.twitter.com/wu5O4aLuT5
賑やかなハイカラシティから一転して静かな音楽とともに映し出される真っ白なハイカラスクエアと一人の黒髪のオクトリング。映像の合間には、不気味で抽象的なイメージと、黒髪のオクトリング及び前作のアイドル「テンタクルズ」のメンバー「イイダ」と「ヒメ」のイラストが挿入されている。
ハイカラスクエアやオクトリングにテンタクルズと『2』に関連する要素が多く盛り込まれており、2つのエキスパンション・パスはそれぞれ旧作『1』と『2』に対応する形になっている。
更に、これがオクトリングが主役となるストーリーモードならば、『2』の『オクト・エキスパンション』の正統な続編と捉えることも出来る。
『サイド・オーダー』という名前は言葉通りの追加注文、即ち追加コンテンツと、『2』のファイナルフェスでイイダが属していた「秩序派」とのダブルミーニングだと思われる。
このタイトルの解釈を始めとして、前述のオクトリングの特徴的な黒髪や、オクト・エキスパンションで明かされたイイダの過去と類似する描写が多いためか、「サイド・オーダーはイイダの過去のエピソードではないか」という考察が数多くみられる。
黒髪のオクトリングがイイダかどうかは別としても、サイド・オーダーは過去の話である可能性は高いと私は考えている。前作に当たるオクト・エキスパンションのエンディングで主人公の8号はハイカラスクエアにたどり着き、イカ文化に順応するタコが現れ始めた。そして『3』の舞台となるバンカラ街では、既にイカとタコが完全に共存している。このように『3』時点ではオクトリングは特別な存在ではなくなっており、主人公がオクトリングであることを強調する意味は薄く、共存以前の過去の話になるのが妥当だと私は考えている。
ハイカラスクエアを覆う白い物質はその色と、生えている結晶(?)の形状からサンゴの死骸を思わせる。また、白い色自体が死に装束を連想させ、もやがかかったような幻想的な空気もあり、死後の世界のようでもある。
余談だが、『3』のヒーローモードは舞台を砂漠→氷河→宇宙と移すが、どれも生物には過酷な環境である。これは、人類滅亡後の世界を描くスプラトゥーンが元来持っている、ポスト・アポカリプス的な側面を特に強調するものである。その流れから見ても、サイド・オーダーが何らかの形で「死」のイメージを取り入れているという予想は的外れでもないのでは、と思う。
まだまだ謎だらけではあるが、『2』からスプラを始めた筆者としては、明確にタコをフィーチャーしているサイド・オーダーには期待しかない。続報が楽しみだ。
総括
予想外の2弾構成となったスプラトゥーン3のエキスパンション・パスは、『1』と『2』それぞれに焦点を当てつつ、世界観の拡張や新たな物語の追加など、対戦以外の幅広いファンにアピールするものになりそうだ。第1弾は2023年5月31日までに、第2弾は2024年12月31日までにそれぞれ配信予定。