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『THE BOYS』シーズン3 第1話「ペイバック」感想

 私はシーズン1から全話視聴しているが、ヒーローものとエログロの掛け合わせにより、外面はいいクズとそのクズがどうしようもなくぶちのめされる様を見る爽快感がこのドラマの魅力だと思っている。裏を返せば今までは各キャラクターの心情にそこまで注目して観ていたわけではなかったが、今シーズンは少し趣が違いそうだ。

 

ネタバレ注意。

 

 前シーズンから1年が経ち、ストームフロントの再起不能と能力者管理局の取り締まりでヴォ―ト社やヒーロー達の不祥事への対応は表面上は片が付いたようで、ザ・ボーイズ対セブン/ヴォ―ト社の構図が崩れ、各キャラクター個々人の思惑が交錯しだしている。それに伴い主人公だったヒューイ以外のキャラクターの視点が増え、ブッチャーやスターライト、そして何よりホームランダーが中心となり群像劇を織りなすことを予感させる導入だった。

 能力者管理局で要職に就いたヒューイはスターライトの公認の彼氏としても順風満帆の生活をしている。ザ・ボーイズには職務上の実働隊として接しつつもブッチャーとは溝が残る様子。そして彼は自身の上司、能力者管理局の局長であり設立者でもあるヴィクトリア・ニューマンが能力者であり、シーズン2で起きていた頭を破裂させる連続殺人の犯人であることを知ってしまう。

 ブッチャーは公権力に縛られ手段を選ばなくてはならないザ・ボーイズの現状に不満を抱きつつも、亡き妻ベッカとの約束を守りその子ライアンの養育のためにも今は矛を収めている。ヴォ―ト内部の協力者であるクイーンメイヴから、ホームランダーを殺害できるかもしれない兵器の情報と、一時的に超能力を得る薬を受け取ったブッチャーは葛藤することになる。

 そしてホームランダーだ。ストームフロントとライアンを失ったうえ、ハイジャックの被害者を見殺しにしたスキャンダル映像で脅され身動きが取れない。おまけに前作での不手際で支持率を下げてしまい、支持率を上げたスターライトがセブンの共同リーダーに任命されるという屈辱を味わい、精神的に不安定になっている。自分に散々煮え湯を飲ませたブッチャーと互いを宿敵と認め合うシーンが素晴らしい。他者、特に無能力者を見下すホームランダーに目を付けられたブッチャーのこれまでの積み重ねの非凡さ、そして置かれた状況の危険さが最高にハラハラする名シーンだ。

 第一話から今までと違う趣を見せていて今後が楽しみだ。個人的にはスターライトが心配で、道を踏み外してボーイズに倒されてしまうことも有り得るのではないかと思う。