お前も茶漬けにしてやろうか!-茶柱の人生丸茶漬け-

見た作品のその時々の感想置き場

『オビ=ワン・ケノービ』Part3 感想

 公開から観るまでに少し時間が空いて、本エピソードの不評を目にする機会があった。他者の意見で自分の感想を左右したくはないが、残念ながら私も本エピソードには多くの不満がある。

 前回までの感想はこちらに。

teapillar.hatenablog.com

 

ネタバレ注意。

 

 本エピソードは非常に多くの問題があるが、大きく3つに分けて述べようと思う。

 まず、登場人物の行動が意味不明。どんな動機でどれくらいの思考力があるのかが不安定で、話の都合で言動が左右されているようにしか見えない。前話までのオビ=ワンとレイアの行動はそれぞれ自暴自棄だったり世間知らずの子供だったりで説明できると思ったが、今回はそれどころではない。トレーラーでの会話は本当に酷くて、オビ=ワンの信じられないくらい間抜けな呼び間違いはレイアの実の親の話に繋げるためでしかなく、それを見逃す帝国兵も同じくらい間抜けだ。しかもあの会話の流れだとオビ=ワンが実の親であることを何らかの事情で話せないように見え、どうしてレイアが納得するのかも全くわからない。尋問官たちは権力争いしか考えておらず、ベイダー卿は適当に市民を虐殺する割にはオビ=ワンは痛めつけるだけで取り逃がす。そのくせオビ=ワンは抜け道から郊外にテレポートするし、サードシスターは超人的直感で抜け道のある整備工場を見出す。前回までくらい小規模ならともかく、オビ=ワンの生存発覚から指名手配、ベイダー卿まで参戦して全員が全員ここまで間抜けなのはいただけない。

 次に、スターウォーズの世界観とのずれ。フォースやジェダイの扱いについて前回はオビ=ワンがフォースと向き合うことを避ける様が新3部作と旧3部作の時代間でのフォースへの社会の認識が変化する過程を見るようで興味深かった。ただ流石に帝国兵に所在を把握され、捕獲までされる危険を冒してまでライトセーバーを抜かないのは自暴自棄を通り越して自殺行為だし、そのくせドラマ終盤まで溜めることもなく本話の終盤で抜いてしまう。マプーゾはオビ=ワンの説明に反して畑の痕跡はまるでない。ベイダー卿がいる惑星も中途半端にムスタファ―を連想させるだけで科学水準もよくわからず、宇宙戦艦も登場しない。ここは予算の都合かな…。言いたくはないが『オビ=ワン・ケノービ』は最大限の投資をするに足るものではないのか。

 最後に、ドラマの構成や演出自体の拙さ。ベイダー卿の顔を野暮ったく煽る割にはテーマを流す度胸もない。旧三部作の力強いテーマとベイダー卿の奥ゆかしい背面カットとは正反対である。戦闘シーンについては、ブラスターを使った戦闘はむしろ緊張感のなさが魅力的だと思っていたが、ライトセーバー戦でさえそれが続くとは思っていなかった。武器としてよりも照明としての役割を強調されるライトセーバーを観るのはとても悲しい。そして、これらの力の抜けた山場を物語の中盤に持ってくる構成にも疑問がある。悪い意味で先行きが見えない。

 以上、本話は単純に出来が悪いだけでなく、旧作の味わいや前話までの本作独自の魅力も台無しにした。今後の展開が不安であるが、最後まで感想を続けられるよう努力したい。